さらに、税率の自動引き上げは、憲法に規定された「租税法定主義」にも反することとなる。
歴史的に見て、議会が設立されたのは、専制君主や国による勝手な税負担増をチェックするためだ。
現代においても、その機能は重要である。
これに対して、消費税と社会保障の場合には、歳出が歳入を引っ張る。
したがって、財政当局にとって都合のよい制度なのである。
消費税について、本来議論されるべきは、将来の高税率に備えて、その構造を合理化することだ。
特に重要なのは、インボイスの導入である。
インボイスを欠く多段階間接税は、付加価値税に似て非なるものと言わざるをえない。
まず、益税の問題が残る(したがって、事業者の本音は、税率引き上げ大歓迎だろう)。
いま1つの問題は、ゼロ税率課税ができないことだ。
消費税の税率が10%を超えれば、食料品などの生活必需物資に対して軽減税率を適用する必要性が高まる。
いまの消費税の構造では、消費税を社会保障の目的税と称して自動的税率引き上げを認めてしまえば、議会はその最も重要な責務を自ら放棄することになる。
つまり、議会の自殺にほかならない。
なお、道路特定財源の場合とちょうど逆の関係になっている。
揮発油税収入の伸び率は、GDPの伸び率より高くなる可能性が高い。
一方、道路はいまやかなり整備されているので、本来必要な伸び率は、揮発油税の伸びより低いはずだ。
特定財源制度があると、揮発油税収入と同じ伸びを続けることが可能となる。
つまり、この場合には、歳入が歳出を引っ張ることとなる。
財政当局が道路特定財源制度に反対するのは、最終段階の消費税を免税にすることしかできない。
仕入れにさかのぼって消費税の減免税を行なうには、インボイスが不可欠である。
このような基本的構造合理化の努力を行なわず、ひたすら財源確保だけを目的として消費税の税率の引き上げを目論み、「トリック」で実現しようとする考えには、とうてい賛同できない。
イノベーションは政府の政策とは無関係「イノベーションによって経済成長を促進させよう」ということが、1年くらい前に盛んに言われた。
イノベーションが経済成長に重要な役割を果たすことは、疑いない。
技術進歩を政策的に誘導することはできない。
なぜなら、研究開発費の投入に対していかなる成果を期待できるかは、まったく不確実だからだ。
重要であることと、政策的にコントロールできることとは、別である。
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